2025.08.05
フィリピンの食文化を徹底解説!1日5食?家族で囲む温かい食卓の魅力

フィリピン人の食文化と食生活
フィリピンの人は食べることが大好き。よく知られているように、1日3回の食事の間に2回のおやつタイムを挟むのが一般的で、さらに寝る前にも何か食べるという人もいます。
「おやつ」と聞くと軽いものを想像しがちですが、フィリピンでは麵類などの腹持ちのするものをしっかり食べることもあります。では、朝昼夜の食事とどう差別化しているのでしょうか?フィリピンでは、「3回の食事は白米をしっかり食べるものと」考えられているようです。
近年、日本人が消費するお米の量は減っているそうですが、フィリピンの人達のご飯好きは惚れ惚れするほどです。王朝文化を持たなかったフィリピンでは、料理は基本的に家庭料理が中心だということも関係しているのかもしれません。そのため、家族だけでなく、なんなら近所にいる人たちまで呼び集めて食卓を囲むことが日常の風景となっています。こうした文化を今もなお持ち続け大切にしているのがフィリピン人です。彼らの慣用的な挨拶に「クマインカナ」という言葉があります。意味は「ちゃんと食べた?」です。顔を合わせるたびこのような挨拶を交わす彼らの食卓には、いったいどんな料理が並べられているのでしょうか。
今回は、そんなフィリピン人の食卓をのぞいてみたいと思います。
朝食 アルムサル
油でいためたご飯に油で揚げた目玉焼きと油で調理した甘い肉のおかず。和風の朝食に慣れた人には冗談のような献立ですが、トーシログと呼ばれる一般的な朝ごはんの一例です。シーログとは炒めご飯(シナガグ)と目玉焼き(イトログ)からなる造語で、これに合わせるおかず一品でセットとしての名前が変わります。冒頭で述べたのはトシノという砂糖漬けの豚肉から来ています。ロンガニサ(フィリピン風ソーセージ)ならロンシログ、バグス(ミルクフィッシュの一夜漬け)ならバンシログ、タパ(牛肉)ならタプシログと変幻自在です。消化のいいおかゆを食べることもあります。アロスカルドと呼ばれるチキンスープで作る、味のしっかりしたおかゆです。卵やほぐした鶏肉に小口に切った万能ねぎがトッピングされています。
昼食 タンハリアン
勤め人の人達はファーストフードやお弁当をもって昼食とすることが多いようですが、ここでは伝統的なフィリピンの一汁一菜、トロトロでの昼食を取り上げます。トロトロは出来合いのおかずを店先の鉄鍋に並べ、それを客が指さし(することをタガログ語でトロといいます)て注文することからついた簡易食堂のこと。おかず一品を注文してご飯とほぼ具の入っていないスープがついてくるという定食が一般的です。もともと手でつかんで食事をする習慣があったことの名残か、おかずもご飯も熱々で提供されることはなく、日本人の舌にはぬるく感じられる状態です。現在は手づかみで食べることはほとんどなく、フォークとスプーンを使って器用に食べます。並んでいる料理は揚げた魚や、煮込んだ肉料理など。数は多くありませんが野菜料理もあります。日本の定食屋に醤油瓶があるように、トロトロのテーブルにはお好みの調味料としてお酢が多く置かれています。他にはカラマンシと呼ばれる小粒の柑橘やラブヨという激辛のトウガラシを使って、自分好みの味にします。料理の味付けは一般に甘じょっぱい濃い目なので、ご飯がするすると入っていきます。
おやつ ミリエンダ
冒頭でも述べたようにフィリピン人の間食は私たちが想像するよりも、ボリュームがあります。白米でさえなければ、おやつだと思っているふしがあります。
パンシットと呼ばれる焼きそば、バナナを揚げたバナナキュー、白玉のようなビ ロビロ、餅菓子のサピンサピンなどが代表的なところでしょうか。
年末になると食べられる季節感あるおやつと言えば、もち米を蒸したプトブンブンとココナツを載せて食べるパンケーキのビビンカです。
夕食 ハプーナン
ちょっとだけ奮発したおかずと山盛りのご飯、それを大皿に載せて家族が好きなだけ取り合い分け合いしながら食べます。一人一人が平皿を使い、スープボールは別にありますが、めし椀を使うことはありません。おかずとご飯をお皿で混ぜ合わせながら一緒に食べるからです。
メインになるおかずは肉料理が多く、鶏肉と豚肉を酢と醤油で煮込んだアドボは大人から子供まで大好きです。シニガンと呼ばれる酸っぱいスープも定番で、これには豚肉や海老、バグス(ミルクフィッシュ)が入っています。日本人にはなじみの薄いピーナツバターで牛の尾や胃袋を煮込んだカレカレは手の込んだご馳走です。ソースは想像通りこってりと濃厚ですが塩っけがなく、味付けにはアラマンという小エビの塩辛バゴオンを加えて食べます。
現実には毎晩こうしたご馳走が、すべてのご家庭で食べられているのではないかもしれません。ただしそれがどんなものであれ、家族や同居人が揃って料理を分かち合うという伝統は、今なお守られています。
まとめ
フィリピンで長く事業を営まれている方からお伺いしたエピソードです。いつもの運転手が帰郷する休暇中、臨時で雇った運転手さんが日が経つにつれて機嫌が悪くなっていったそうです。何かあったかと思いながらも、田舎から戻った元の運転手から聞いた話で納得したそうです。臨時の運転手は昼食をご馳走してくれず、別々に食べていたことに不満があったというのです。十分以上の報酬を与えていたので、ランチ代を渡すことに考えが及ばなかったとおっしゃられていました。私は運転手さんは短い期間であっても、単に新しいボスと一緒に食事がしたかっただけなのではなかったか、と思っています。
<郷に入っては郷に従え>といいますがフィリピンを訪れたなら、増える体重のことはいったん忘れ、現地の習慣に従って思いっきり食べることを楽しんでください。もちろん一緒にいる仲間や家族みなと食卓を共にすることで、美味しさも倍増することでしょう。
執筆者 上村康成 From TDGI東京オフィス
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